2023年7月 ハリウッドで始まった俳優組合のストライキ
私たちにとっては華やかなりしハリウッドスター。
その俳優連合が動画配信大手などを相手どって公正な利益配分を求めたこの事件。
組合員は16万人になると言われ、一時は映画・ドラマの製作、宣伝活動も中止されるなど業界に大きな影響を与えました。
これは、「対岸の火事」ではなく「今そこにある危機」ではないでしょうか。
給料をもらっている、税金とかよくわからない、資産管理を誰かに任せている……。
明日のストライキを起こすのは、あなたかもしれません。
どんな綺麗ごとを言えども、プラットフォーマーの方が儲かっている
例えば漫画家にとっては切っても切れない関係の出版社。
いくらクリエイターを支え、伴走し、彼らの能力を最大限発揮している……と言っても、それより遥かにシンドい思いをして、作家は作品を産み出しています。
では、その利益配分は果たして正しいのでしょうか?
慣習として、一律10%が現在の作家の取り分だそうです。
アナログの紙本であれば、たしかに一定の納得感があります。
漫画が書店に届くまでに写植や、印刷、製本。配送、書店へ置いてもらうための営業の気配り、在庫管理……。
見えないところで多くの人が動いた結果、本は売れ、作家は名を上げていきます。
でも、デジタルの場合はどうでしょうか?
写植なんてもう必要ありませんよね。知らない人すらいるかもしれません。
印刷、配送もいらないですね。デジタルデータが右から左にネットを介して流れるだけ。
書店も在庫管理も必要ありません。
必要なのは、どうネットに広告を打つかくらいでしょうか。
出版社の仕事はとても効率化され、収益性が高まっていることでしょう。
なにしろ作業は半分どころじゃ済まないくらい合理化されているのですから。
さて、販売の値段はその分安くなっているのでしょうか?
誰もが知っている著名な漫画の販売価格です。
ほとんど値段、変わりませんよね……。
それなら、大幅に作家の取り分が増えているんだろう。
読者としては、出来れば作家に満たされて欲しいですから。値段があまり変わらなくても、仕方ありませんよね。
ところが。
驚くことに電子書籍の場合でも、作家への還元率は15%前後のようです。
MAXでも20%と言われています。
その分の利益は誰が手にしているのでしょうか?
その多くは、出版社です。当たり前の話です。
漫画家が出版社に搾取される時代が始まっている
こう言ったのは漫画家の新條まゆ先生ですが、始まりつつある、が正しいでしょうか。
電子書籍の売上は、こんなところです。
頑なに紙にこだわり続けた大手出版社ですが、さすがにここ近年電子化の波に呑まれ、仕方なく足並みを揃えようとしています。
電子化の増強と本の撤退、それに伴うスタッフの業務入れ替え、ルーチンワークの再構成、新たなセキュリティリスク……。
現在、変わって行く仕事に合わせ、諸々の課題に追われる日々ではないでしょうか。
さて、その中で、出版社は作家への分配率を見直そうとするのか?
答えは「否」。
いやいや、待ってください。と思うかもしれません。
本当に作家を思いやる、心優しき「いち編集者」であれば見直すべき、と考えているかもしれません。
では、その声は会社に届くのでしょうか?
届きませんよね。
分配率の見直しを発言しようものなら、心優しき編集者が部署を飛ばされるリスクだってあります。
結局、表立ってなにかが変わることはありません。
呑み屋でせいぜい愚痴るレベルで終わってしまうのです。
経営者にとって今のところ、作家への分配率見直しにメリットはなく、メリットがなければ首を縦に振る経営者はいないでしょう。
ここに人として……とか、道徳的に……といった観点を持ち込む経営者は、よほどのお人よしです。
100人に2~3人いるかどうかじゃないでしょうか。
ハリウッドの俳優連合のような組織があり、ストライキを起こすのであればまた違うかもしれませんが……日本の場合、一人の作家が亡くなってもなお、「お気持ち表明」に留まり、システムが変わる気配はありませんよね。それが企業の本音です。
契約書すら交わしていない(あるいは交わす必要を知らない)漫画家は、たしかに搾取される存在です。
多くの漫画家は「孤立」しています。
「契約書のないただの口約束」は、契約ではありません。守られなくても文句を言えないのです。
そんな状態のまま「今までこうしてきてるんです」という出版社の言葉によって、自分の人権、生殺与奪の権利を出版社に預けている、大変危険な状態です。
あなたが産んだ子供が、ある日突然強制的に施設に送られても、反論も、法的な賠償も訴えることができない「可能性があり」、それを守るも守らないも「相手次第」というわけです。
もちろん、実際にそんな暴挙が行われることはほとんどありません。
……そうです、「ほとんど」です。全くないとは言えないところが問題です。
それに傷つけられてきた作家が少なからずいるのは、みなさんの知るところでしょう。
本当にそれで、いいのでしょうか?
かくいう私も、時給300円でゲーム作ってた
偉そうなことをいいましたが、私も若かりし頃、数週間会社泊まりこみなどの膨大な残業をこなしてコンシューマーゲーム作ってた時代があります。
計算すると、時給300円くらいでした。
「創るのが好きだから。楽しかったから」
ただ、それだけ。
今でこそやりがい搾取なんて言葉がありますが、当時は会社に尽くすのが当たり前、という風潮でしたからね。気づかずに奴隷やっていました。
上に書いた漫画家さんと、たいして違いはないでしょう。いや、もっとヒドかったかも……。
その結果、得られたものもありましたし、失ったものもあります。
辞めた後、しばらくかかりましたが、私は最終的に「無知な自分が選択した、自分の罪」と理解しました。
いまでは、あの時の会社に恨むものもありません。感謝すらあるくらいです。
まだ奴隷根性が抜けていないって?
でも、あの頃があったからこそ、今の自分があるのも、確かなんですよね。
リモートワークで生きて行こうと強く思ったのは、あの頃の「縛られた生活への反動」でしたし、それを今に至るまで続けてこれたのも、あの時降りかかった信じられない数の無理難題をひたすら片付けてきた、問題解決能力によるところが大きいです。
現在の仕事場は、とてもよくしていただいております。
若いうちはいいんですよね。内から力があふれ出てきますから。
でも、その力は時間制限つきです。
速ければ30代、遅くても40代には力を失っていることを痛感するでしょう。
力を失う前に、奴隷ではなく、自分としてどう生きたいのか。
失敗を恐れず、道を模索してください。
間違えることだってあります。私だって「金持ち父さん……」読んでその気になった末、
投資で数百万融かしました😢
ただ、一度失敗したからこそリーマン以降の投資成績は、そこそこ上向きです。
無償で他人を幸せにする人間はいない
あなたが最大限の幸せを得られるように、せっせと人生設計してくれる人はいません。
あなたが不幸せになるとわかっていて、幸せな人生設計を手伝うフリしてくれる人は、いっぱいいます(投資を勧めてくる人は99%コレ)
スキルだけで飯食っていく人間でも、人生設計や、それを遂行するコミュニケーション能力は必要です。
漫画家だってそう。技術者だってそう。営業だってそう。
サラリーマンですら、気持ちは個人事業主として仕事に向かい合う時代です。
フリーランスなら、「自分が自分らしくあるために」全方位に気を配らないといけませんね。
是非自分の人生をどうしていきたいのか、誰かに頼るのではなく、自分で見つけ出していきましょう。