コロナのお陰で「リモートワーク」を経験し、現在でも週1~2はリモートワーク、なんて人は増えたのではないでしょうか。
また、職場の人間関係に疲れたのでフルリモートワークになりたい……なんて声も聞いたことがありますが、フルリモートはフルリモートなりにデメリットもあるものです。
ここでは、15年以上、2社をまたがりフルリモートワークを続けてきた私がフルリモートの良さ、厳しさについて赤裸々に語っていきたいと思います。
なお、フルリモートといっても「会社同様、時間は縛られる」場合と「時間も自分の自由に出来る」方式があります。私の場合、時間も自由に出来る形式のフルリモートです。
メリット
移動時間がない
これは想像以上に貴方の時間を自由にしてくれます。
一言に移動といっても、出社のためスーツに身を包み、化粧をして……といった時間も含まれますので、出勤時間が30分であっても1日2時間程度、都心では平均3時間前後の移動時間から解放されるのです。
3 時間と言えば1日の 1/8。10 年経つと実に 456 日間も移動だけに費やしている計算です。
満員電車での出社を強要されない事も非常にメリットですね。痴漢も、混雑に潰されることも、隣のおじさんの悪臭に耐える必要もありません。
移動がないということは、居住地の選択の幅も増えますし、身ぎれいにする必要がない分、お金がかからないとも言えます。
無駄な会議から解放される(されやすい)
出社していると、会社にもよりますが「ただ上司が自分の権威を示したいだけの会議」やら「謎のなんとか係に任命された月1会議」などなど、本当にそれ意味あるの? って会議が山ほどあります。(マネージャークラスになるほど、実害を被っていると思います)
これらの無駄な会議はリモートワーク下になると、人と人との距離感が離れた分冷静になれるからか、少なくなっていく傾向にあります。
心理的にも、時間的にもプラス。いいことしかありません。
仕事時間を調整できる
これは「時間も自分の自由に出来る」タイプのフルリモートワークかつ、仕事が得意であるほどメリットを享受できますが「今日はモチベ湧かないから、仕事しない!」なんて事もフルリモートでは許されます。
その分、人が求めるより早く、クオリティの高い仕事をしている必要はあります。
世の中には「他者に決められた時間のルールで生活しないと落ち着かない……」なんて人が結構いるのですが、これは仕方ありません。学生の頃から「人に決められた」生活が染みついているだけです。
数年経って、自分で時間をバランスできるようになるとこのメリットは「ただお金を持っている人よりも、遥かに自由で豊か」という実感を感じられることでしょう。
ちょっと言い過ぎ?
結論:自分のペースをもてる
今までの話は全て「時間を金で売り渡す」束縛された生活から解放される、という内容です。
世の中には自分の時間を自分で決めつつ、お金を稼ぐ方法もあります。
ただし、そのためには人一倍努力する必要もあります。
フルリモートは本当の意味での「自由との戦い」と言えるかもしれません。
デメリット
自己管理能力が必須
仕事時間を調整できる、ということは「サボろうと思えばいくらでもサボれてしまう」ことの裏返し。
短期的には許されるかもしれませんが、中長期的には仕事を失うことになるでしょう。
仕事にやり甲斐を感じる人であれば意外と自己管理できるのですが、そうでない人が自己管理するのは、なかなか難しい。
1か月はなんとかなっても、半年も過ぎればダラダラモード全開になっているかもしれません。
あなたがマネージャークラスであれば「どうすれば見えないところで社員が仕事したくなる環境を整えられるか」を考える必要もあるでしょう。
なお、私はクリエイティブな仕事が趣味みたいなところがあるので、明らかに働きすぎてしまいます。
ここ数年、土日や連休で仕事をしていなかった日はあったかな……思い出せない……という感じ。
楽しんでるので良いのですが、後述するように適度に運動するなど、末永く仕事を楽しめるような努力はしています。
人とコミュニケーションする機会がない
これはジワジワと人を蝕みます。人は思っている以上に、何気ない人との会話で心の平穏を保っているものです。
友達が多く、比較的接触の多い20~30代前半くらいであればその機会を作ることも容易ですが、年齢がそれ以上になってくると本当にコミュニケーションの機会は失われていきます。
また、家にいると奥さんに邪魔扱いされるという可哀想なケースも、実はかなり多いです。
私の知っている会社の社長さんは、奥さんと娘に嫌われ、家に居場所がないので会社に張り付き、あろうことか他の社員にも出社を強要するという哀しみのコンボを繰り出しておりました。あの会社、どうなったかなあ……。
互いの表情が見えないため、コミュニケーションの取り方が数倍難しい
よくプログラマーはコミュニケーションもせず一人でコツコツ仕事をこなせばいい、なんて思っている人もいますが全く違います。出来るプログラマーは例外なくコミュニケーション能力も高いです。
ただ上司に言われるままの仕事をするだけならコミュ力はいらないかもしれません。
でも、その会社は自分の将来を保証してくれるでしょうか。いざ会社から三行半をくらった場合、次に繋ぐことはできるでしょうか。
ましてやフルリモートワークの場合、頼れるのは基本文字ベースの交渉力です。
人を納得させるのは、対面より遥かに難しいですし、いつ、どういうタイミングでコミュニケーションするかなど本当に気を遣います。自分で自分を営業する、と言えばいいでしょうか。
そんな呼吸の読み合い、自分には無理。という人はフルリモートワークに向いてないかもしれません。
運動しない
若ければたいしたダメージにならないかもしれませんが、30も半ばを過ぎてくると腰痛になったり、各関節に痛みを感じるようになります。また、成人病にかかる人もいます。
これらを防ぐには適度な運動が必要であり、実は通勤や出社が(多少)補っていたのですが、フルリモートワークではそれが一切失われます。
その分ジムに通ったり、家で毎日運動を続けるなど、適切な運動をしなければ身体は急速に衰えます。これも自己管理の一つですが、健康年齢を少しでも伸ばすために重要です。
ちなみに私はサボっていたのでひどい目にあいました……。
なんとか生き残れたので、現在はかかさず運動するようにしています。
定時に寝て、定時に起きるような生活習慣も大切ですね! 自分のストレスにならないレベルで、少しずつ努力を広げていきましょう。
結論:出社していた時より自己責任の範囲が増える
今まで会社任せになっていたものを、自ら巻き取って効率化する。効率化すればするほど楽で、楽しくなる。フルリモートにはそんな側面があります。
自分のペースで出来るというのは甘えではなく、自分で責任をもって一定以上の成果を上げるという事に他なりません。
反面、決まった時間に出社して、定時に帰る生活だけで金が欲しいという人には全く向いてない勤務形態です。
そのゆるいスタンスで、10年先の日本に仕事があるかどうかは怪しいですが……。
まとめ
フルリモートはとても自由なイメージがあります。
それは確かに間違っておらず、「常に誰かに時間を奪われ続けてきた」現代人にとって、本当の自由を得られる職務形態の1つです。
その分「自己責任」が求められる場面も多く、常に期待以上の仕事で返す必要があります。これをチャンスと取るか、プレッシャーと取るかで、フルリモートの向き不向きが決まるのではないでしょうか。
また、もし、現行の日本の「正社員が守られる」法に変化が生じた場合、誰もがフルリモートと同じ責任を持つ必要が出てくるかもしれません。
アメリカは既にそうなって(しまって)いますよね。
そうなる前に、自らフルリモートに身を置くことで、将来のリスクに慣れておくのも悪くはないでしょう。